多焦点レンズは、現在日本国内で承認を得られているもの以外にも、個人輸入で使用可能なものを含めると多種に渡ります。今回は日本国内で承認を得られているものに限定して解説していきます。
レンズに応じて近方焦点距離が異なる
現在発売されている多焦点レンズは下記となります
- Alcon社の出している2焦点レンズ2種(近方焦点距離50cmもしくは30cm)
- Alcon社の3焦点レンズ(近点距離60cmと30cm)
- AMO社の2焦点レンズ2種(近方焦点距離50cmもしくは30cm)
- AMO社の焦点距離拡張型レンズ(近方焦点距離60cm)
- 1から4の乱視矯正機能付レンズ
重要な点は、すべてのレンズで良好な遠方視力(おおむね3M以上の距離で見える視力)が得られるのに対し、それぞれの近方焦点距離が異なっていることです。多くの選択肢がある中でレンズを選択するのは非常に難しいですが、比較検討の際、重要になるポイントについて説明していきます。
生活スタイルに合った近方距離は何cmか?
新聞、読書、裁縫、パソコン、携帯、タブレットなど、近くの字を読む機会は非常に多いものですが、実はそれぞれに見ている距離は異なっています。例えば、新聞であれば40~50cm、携帯は20~30cm、パソコンは60cmといったように、人によってもその距離はさまざまです。どのくらいの距離を取っているのか、ご自身で一度確認してみるのがよいでしょう。
また、ご自身がイメージする生活スタイルと、実際の生活スタイルが異なっていることがあります。例えば、よく読書をして過ごすという方です。読書に合わせた近方距離のレンズを希望されましたが、よくお話を伺いますと、実際は読んでも1日に1時間ほど。毎日読むわけでもない、むしろ新聞を2時間かけて毎日隅々まで読むとお話をされた方がいらっしゃいました。読書に割いている時間は、ご自身がイメージしているほどではなかったということです。
もちろん、手術をしたらこうしたい!という希望は持っていて頂いてもよいのですが、あまりにも希望が先行してしまい、実際の生活スタイルに合った焦点距離とは違ったレンズを選択してしまうのはとてももったいないことです。現在1日の内でどれくらいの時間をそれぞれに使っているのか、いま一度チェックしてみるとよいでしょう。
ハローグレアといった多焦点レンズに見られる光源のボヤけが生活の邪魔をしないか?
多焦点レンズの特徴として、明るい場所(日中の屋外、照明下の屋内)では非常に良好な視力が得られますが、夜間の屋外や薄暗い室内では、視力が落ちてしまいます。また下に示すように、暗い場所で信号や光源をみると、回りにボヤけや放射状に伸びる光が現れることがあります。
これらの症状はレンズによって強さは異なりますし、手術後3~6ヶ月ほどの間で症状が消えたり、あまり気にならなくなったりという方が多いですが、夜間の外出が多い方、夜の運転を頻繁にされる方の場合には十分に医師と相談の上レンズを選択されるのがよいでしょう。
記事監修:「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
- 2003年:近畿大学医学部 卒、近畿大学医学部眼科学教室 入局
- 2009年:府中病院 眼科、近畿大学医学部大学院医学研究科 卒
- 2011年:Brien Holden Vision Institute Visiting Research Fellow
- 2012年:近畿大学医学部 助教
- 2014年:近畿大学医学部 医学部講師
- 2016年:医療法人翔洋会 理事長 平木眼科 院長
- 2018年:南大阪アイクリニック 院長
クリニック情報
- 所在地:大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 電話番号:072-453-1750
- 診療時間:9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日:木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器:フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など
記事監修
「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
略歴
2003年近畿大学医学部眼科学教室入局。府中病院(和泉市)勤務、オーストラリア留学を経て、2014年より近畿大学医学部講師として白内障・角膜外来を担当。2016年より現職。
渡邊医師YouTubeチャンネル:
クリニック情報
- 所在地大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 診療時間9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など