2020年9月1日、当サイト「白内障ラボ」の監修ドクター「南大阪アイクリニック」院長・渡邊敬三医師が著書を出版されました。
「誤差ゼロを追求する 渡邊式・白内障治療」渡邊敬三(著)
白内障手術でQOL(生活の質)を向上させる!
患者一人ひとりに寄り添い、術後の視力誤差を抑える
「最善の白内障治療法」とは――80歳以上の発症率はほぼ100%だといわれている白内障。
近年は日帰り手術など、手軽に治療を受けられるようになりました。
しかし、手術を行うクリニックや病院によってその精度はさまざま。
期待どおり、もしくはそれ以上の視力を手に入れたい……。
もっとQOL(生活の質)を向上させたい……。
そんな患者の要望に応えるため、術後の視力誤差を最小限に抑えることに注力してきた著者が、
「正確かつ高精度な精密検査」
「最適な眼内レンズ選び」
「最先端機器の導入」の3つのポイントをもとに、白内障の正しい知識とクリニック選びを解説します。
白内障に悩むすべての方々へ、快適で幸せな生活を送るために手に取っていただきたい一冊です。
●引用元:amazon.co.jp
書籍出版にあたっての想い
このたび著書のご出版に至った想い、背景を渡邊先生にお伺いしました。
白内障手術の良いところも悪いところも、情報を整理して体系的に伝えたい
ーご出版おめでとうございます。今回の著書を通じて、先生がお伝えしたいこと、知ってもらいたいことについて教えていただけますか。
渡邊先生(以下、渡邊)「ありがとうございます。大きく分けて、2つのことがあります。まずひとつは、昨今の白内障手術について、正しい情報を体系的にお伝えすることです。
最新の手術機器や高性能な眼内レンズの登場など、白内障手術の技術進歩は目覚ましいものがあります。インターネットでも、機器やレンズを紹介しているサイトがありますよね。
しかし、その本当のところが正しく伝わっているのだろうか? 体験談などをみても、良いことばかりしか書かれていないのではないか? これから白内障の治療をしよう、手術を受けようと考えている方々には、本当のところを知れないもどかしさがあるのではないか? そのように考え、書籍を出版いたしました。
インターネットから得られる情報はさまざまありますが、それらはみな個別のもので、情報がバラバラになっています。情報が一元管理されていないんです。白内障手術の良いところ、その一方で懸念されていること、それらをまとめて明確にお伝えしたいと考えた結果、それはWebサイトではなく書籍としてお届けするべきではないかと考えました」
『誤差ゼロ』の追求の重要性を認知していただきたい
ーおっしゃる通り、Webサイトでは書籍のように章立てた情報構成は難しいです。サイト運営者としてはちょっと耳が痛いですが(笑)
渡邊「(笑)。そしてもうひとつは、書籍のタイトルにも使用している『誤差ゼロ』への追求です。
目がかすむ、まぶしく感じるといった白内障の症状が表れる原因となる水晶体の濁りを取り除くために、手術では濁った水晶体を除去して眼内レンズを挿入します。この眼内レンズにはさまざまな種類があり、3焦点眼内レンズの登場など技術進歩も著しいです。
しかし、どんなに良いレンズを選んでも、良い手術を受けられなければ、理想の見え方、視力にはなりません。
良い手術のためには、精密な手術前検査を徹底すること、手術中の不確定要素を極限まで排除することが大切です。これが『誤差ゼロ』の追求です。眼内レンズのポテンシャルを最大限に引き出すために、医師は誤差ゼロを追求しなければならない。これが非常に重要であることを、書籍を通じて認知していただきたいと考えました」
『誤差ゼロ』の追求、そのための機器
ー『誤差ゼロ』の追求に向けた取り組み、先生の考えを教えてください
渡邊「『誤差ゼロ』の追求には、当然ながら医師の努力が不可欠です。
白内障手術を受けた方から『手術前にイメージしていたような視力が出ない』『その原因もわからない』と聞くことがあります。こうした見え方への不満の原因となる誤差は、完全にゼロにすることは難しいです。だからこそ、医師はその追求のための努力を常に怠ってはいけません。
先ほどもお伝えしましたが、白内障の手術機器は進化しています。優れた機器は誤差ゼロの追求のためにある。私はそう考えています。
どうすれば手術前検査で正確なデータが取れるのか。いま用いられている計算式の何が悪いのか。誤差をなくすためにAIをどのように活用するのか。追求を怠ることなく、医師は日々努力し、アンテナを張り続けなければいけません」
ー手術前の検査精度が重要になるのでしょうか?
渡邊「誤差が出る原因は、手術前検査だけではなく、手術中にも潜んでいます。
手術には不確定要素がつきものです。AIを駆使すれば間違いないというものではありません。術中の不確定要素の影響を術後の視力から無くすために、私は日々データ解析に取り組んでいます。このデータは白内障ラボでも紹介させていただければと思います」
「よくわからないから」と投げやりになってほしくありません
ーぜひお願いいたします! しかし、白内障の手術を受けられる方には、こうした情報は届いていない。誤差による術後視力への影響を認識されていない方も多いのではないでしょうか?
渡邊「おっしゃる通りです。専門的な話と身構えてしまい、『よくわかりません』『おすすめのレンズを入れてくれればそれでいいです』『生い先も短いし、保険のレンズでいいですよ』と考えてしまいがちです。
保険診療の単焦点レンズが悪いとはいいませんが、これまで頑張って必死に生きてこられた方々の、残りの人生が5年だろうが、10年だろうが、この先も気持ちよく見えてほしい。私はそう願っています。快適に見えるということは、QOL(生活の質)のベースになるものだからです。手術を受ける方々には『よくわからないから』と投げやりになってほしくありません。
白内障手術を受けられるのはご高齢の方が多いですが、その世代の方々はインターネットよりも活字に親しまれています。それも今回、出版を考えた理由のひとつです。慣れ親しんだ読書を通じて、情報をお届けできたらと思います」
手術や術後の見え方への意識改革をみなさんと一緒にやっていきたい
ー事前に情報が伝わっていれば、手術を受けるにあたっての姿勢や、術後へのモチベーションも変わってきそうですね
渡邊「情報を得ることで、手術を受ける医療機関選びも変わってくるはずです。
手術のスピードの速さや、こなしてきた手術の件数といったものは、術後の視力を測る指標にはなりません。手術を受ければ白内障は治りますが、大切なのは『治る、治らない』ではなく、『どう治るか』です。この意識改革を、これから手術を受けるみなさまと一緒にやっていきたいです。
大きな声では言えませんが、医師も商売であることは事実ですので、利幅が減るような術式を選ばない医師もいるかもしれません。それはあってはならないことですが、医師から意識が変わることは難しいかもしれません。
しかし、みなさまが情報を得て、手術の方式や術後の見え方への意識が変われば、医師の姿勢も正されることでしょう。
『こんなレンズがあると本で読みました。私が望む術後の見え方には、そのレンズが合っていませんか?』このように言える人が増えてほしい。今回の書籍がそのお役に立てれば、これほど嬉しいことはありませんし、私も誤差ゼロへの追求をこれからも惜しむことはありません」
著者:「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
- 2003年:近畿大学医学部 卒、近畿大学医学部眼科学教室 入局
- 2009年:府中病院 眼科、近畿大学医学部大学院医学研究科 卒
- 2011年:Brien Holden Vision Institute Visiting Research Fellow
- 2012年:近畿大学医学部 助教
- 2014年:近畿大学医学部 医学部講師
- 2016年:医療法人翔洋会 理事長 平木眼科 院長
- 2018年:南大阪アイクリニック 院長
クリニック情報
- 所在地:大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 電話番号:072-453-1750
- 診療時間:9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日:木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器:フェムトセカンドレーザー白内障手術装置「LenSx🄬」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION🄬 VISION SYSTEM」など
著者
「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
略歴
2003年近畿大学医学部眼科学教室入局。府中病院(和泉市)勤務、オーストラリア留学を経て、2014年より近畿大学医学部講師として白内障・角膜外来を担当。2016年より現職。
クリニック情報
- 所在地大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 診療時間9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など