白内障の手術に関する質問はさまざま寄せられますが、意外と多く聞かれる声が「手術に適した季節はいつですか?」というものです。特に夏場の入浴や細菌感染が気になる方が多いようですので、手術後の衛生管理や感染症について回答していきましょう。
白内障手術を受けるのに適した季節はありますか?
季節や気候による影響は、あまり気にしなくてよいと考えられます
白内障手術を控え、「夏はお風呂に入れなくなると気持ち悪いから、涼しい季節に受けたい」とおっしゃる方は少なくありません。また「夏はばい菌がつきやすいから、避けたほうがいいですよね?」と聞かれることもよくあります。皆さんが気になる「入浴」と「感染症」、この2点について、ご説明したいと思います。
手術後の入浴やシャワーについて
まずひとつ目は、手術後のお風呂に関してです。
手術の直後から傷口はふさがっていますが、目の表面についた傷自体は数日間残ります。そのため「洗顔」「洗髪」「湯船での入浴」「目を押さえる」など、目に細菌が入る可能性のある行為は控える必要があります。
ただし、首から下であれば手術当日または翌日からシャワーは可能ですし、固く絞ったタオルで顔を拭くこともできます。また、美容院などで目を濡らさないよう洗髪してもらうことも可能です。
3~7日後からは、通常通りにシャワー(洗顔、洗髪を含む)を使えますが、それまでの期間の入浴制限が気になる方や、洗髪のために外出できない方は、夏場の手術は避けたほうがよいかもしれません。
感染症を起こしやすい季節
ふたつ目は、感染症について。夏場は「感染症を起こしやすい」というのは本当なのでしょうか。
白内障手術の合併症で最も注意すべきは「手術後眼内炎」という細菌感染症です。これについては多くの論文が発表されており、カナダ、韓国、オーストラリアからの報告によると、眼内炎の発症に深く関わる結膜の細菌数は春に増加するため、眼内炎の発症がこの時期に比較的多いとされており、気温としては12~22℃ほどが該当します。
この気温を日本の季節に置きかえると、北海道では5月から9月、沖縄では11月から4月までと、地域による差はありますが、おおむね4月~6月、または10月~11月といったところでしょうか。
気候要因だけでいうと秋も多いと考えられますが、春には手術室に新しいスタッフが配置されるなど、人的要因も含まれているのかもしれません。そうなると「では、春は手術を避けた方がいいの?」と思われますが、実際に臨床に関わる者の実感としては、感染症を起こさないよう衛生管理をしっかり行っていれば、季節や気候による影響は、あまり気にしなくてよいと考えます。
記事監修:「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
- 2003年:近畿大学医学部 卒、近畿大学医学部眼科学教室 入局
- 2009年:府中病院 眼科、近畿大学医学部大学院医学研究科 卒
- 2011年:Brien Holden Vision Institute Visiting Research Fellow
- 2012年:近畿大学医学部 助教
- 2014年:近畿大学医学部 医学部講師
- 2016年:医療法人翔洋会 理事長 平木眼科 院長
- 2018年:南大阪アイクリニック 院長
クリニック情報
- 所在地:大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 電話番号:072-453-1750
- 診療時間:9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日:木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器:フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など
記事監修
「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
略歴
2003年近畿大学医学部眼科学教室入局。府中病院(和泉市)勤務、オーストラリア留学を経て、2014年より近畿大学医学部講師として白内障・角膜外来を担当。2016年より現職。
渡邊医師YouTubeチャンネル:
クリニック情報
- 所在地大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 診療時間9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など