「友達が白内障手術を受けたけど、手術前と変わらないと言っているので、手術を受けたくない」。このように考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今から手術を受けようかと考えられている方にとっては、白内障手術を受けたにも関わらず見えるようになっていないというお友達のお話は、人ごとではないお悩みかと思います。
そこで、当サイト監修「南大阪アイクリニック」渡邊医師に、この疑問にお答えいただきました。
「見え方が手術前と変わらない」にはさまざまな原因があります
「白内障手術を受けたけど、手術前と見え方が変わらない」、この原因としては以下のことが考えられます。
- 屈折誤差(眼鏡を使わずに見えると思っていたTVがみえない、など)
- 乱視
- 他の目の疾患がある
- よく見えていることに慣れてしまった
- よく見えているのに勧められるがままに手術をした
屈折誤差
まずは屈折語差についてです。
これはいつもその重要性についてお話していることですが、多焦点レンズはもちろんのこと、単焦点レンズであっても、遠くが見えると思っていたのに見えない、ということにつながるものです。
解決策としては眼鏡をかけるということになりますが、手術を受けられる前に、その重要性についてぜひご理解いただきたいと思います。
手術後にはどの距離が見えるようになりたいか?眼鏡を使わないで生活をしたいか?等、医師と納得いくまで相談し、屈折誤差への取り組みについても併せて相談されると良いでしょう。
乱視
当院では乱視矯正レンズを使用していますので、眼鏡が必要になるような乱視が手術後に残ることはあまりありませんが、中には乱視が強いのに、矯正レンズが使えないという方がいます。この場合には手術後に眼鏡が必要になることを手術前にできる限りしっかりとご理解いただけるよう努めています。
ご自分の目に乱視があるのか、あるとすれば乱視矯正レンズを使用するのかを担当医に相談しましょう。
他の目の疾患がある
60代以上の方で視力に影響を及ぼす可能性があるものに、緑内障や加齢黄斑変性症といった疾患があります。緑内障で視野が欠けていることに加え、白内障によるかすみが生じていた場合、手術前の症状のうち、かすみはきれいにとれますが、視野は戻らないということをしっかりご理解いただいておく必要があります。
もしこれらの説明を聞かれていなければ、どうでしょうか?視野が欠けていることも手術で治ると期待される方もおられるでしょう。
ものがゆがんで見えるのが全然治らない、とお困りになる方もおられるかもしれません。これらの症状は白内障による症状ではないので、残念ながら手術をしても治ることはありません。
手術前には症状についてしっかりと担当医に相談し、手術をしたらどうなるのか、しっかり聞いて頂くと良いでしょう。
よく見えていることに慣れてしまった
手術を受けられた後には多くの方がその変化に驚きの声を上げられます。1日で景色の鮮やかさがガラリと変わりますので、執刀医としてそのような声を頂くのは、何度頂いても嬉しいものです。
しかし数年後、久しぶりに来院され様子を伺うと、「最近見えにくいんです」「手術前に戻った気がする」というお話をされ、検査をしてみると、手術直後とあまり変わっていない。
この場合は、眼鏡の使い方を間違っておられることがあります。また、手術直後の感動が大きすぎて、見えていることに慣れてしまった、というケースもあります。
よく見えているのに勧められるがままに手術をした
実はこれが大問題と考えています。一例をご紹介します。
以前は眼鏡をかけなくても見えていたのに、最近では眼鏡をしないと見えにくくなり、眼科を受診した方がいます。眼科では「見えにくくなった」とだけお話され、「眼鏡をかければ見える」という話をしませんでした。そこで白内障になっているからと手術を勧められ、手術を受けたものの、術後も裸眼では見えにくい。担当医に相談したところ、眼鏡をかけましょうと勧められました。
この時点できっと疑問をもたれる筈です。「これなら前と一緒じゃない?」と。
原因としては、手術をする時期が早すぎたということに加えて、手術後に希望していた距離にピントが合っていない、つまり屈折誤差を生じている、等が考えられます。
白内障手術を受けるのは1回だけです。だからこそ、白内障手術に関する理解を深め、手術を受ける時期、手術方法、眼内レンズ選びが重要になります。
ご自分の目の状態についてよく知ったうえで手術を受けられることをお勧めいたします。
記事監修:「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
- 2003年:近畿大学医学部 卒、近畿大学医学部眼科学教室 入局
- 2009年:府中病院 眼科、近畿大学医学部大学院医学研究科 卒
- 2011年:Brien Holden Vision Institute Visiting Research Fellow
- 2012年:近畿大学医学部 助教
- 2014年:近畿大学医学部 医学部講師
- 2016年:医療法人翔洋会 理事長 平木眼科 院長
- 2018年:南大阪アイクリニック 院長
クリニック情報
- 所在地:大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 電話番号:072-453-1750
- 診療時間:9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日:木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器:フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など
記事監修
「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
略歴
2003年近畿大学医学部眼科学教室入局。府中病院(和泉市)勤務、オーストラリア留学を経て、2014年より近畿大学医学部講師として白内障・角膜外来を担当。2016年より現職。
渡邊医師YouTubeチャンネル:
クリニック情報
- 所在地大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 診療時間9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など