単焦点レンズと多焦点レンズではどちらがおすすめですか?
おすすめのレンズは、現在のライフスタイルや今後行いたいことから決まります
白内障手術では、視力低下の原因となる濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを固定します。眼内レンズには「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」がありますが、このどちらを選択するかは、手術後の生活の快適さに直結するためとても重要な要素です。
まずは以下の項目をチェックしてみてください。
- 現在の生活の中で、趣味や仕事として行っていること
- 今は見えにくいため控えているが、見えるようになったらやってみたいこと
- 10年後の生活を想像してみること
「主婦業が主だけど洋裁もしたい」「本が好きで2~3時間は読む」「ちょっとした外出でいちいち眼鏡をかけるのはイヤ」「視界がまぶしくて、最近はドライブをあきらめている」「旅先で夜空を見上げた感動をもう一度あじわいたい」「ゴルフボールの軌道や落ちるところをはっきり見たい」…など、手術を受ける方の生活や希望は十人十色です。
こうしたライフスタイルや今後行いたいことに応じて、単焦点レンズと多焦点レンズ、どちらがおすすめとなるかが決まります。
単焦点レンズのピントを合わせる場所
「単焦点レンズ」は読んで字のごとく、「遠く(5メートル以上)」または「近く(30~40センチ)」どちらかにピントを合わせるレンズです。一方に焦点が集中するため、もう一方の視力が出にくい特徴があり、例えば遠くにピントを合わせれば、遠距離は裸眼で1.0前後の視力が期待できますが、手元は0.4前後しか期待できないため、老眼鏡が必要になります。逆に、近くにピントを合わせれば、手元では0.8前後の裸眼視力が期待できますが、遠くは0.2程度しか期待できず、普段から眼鏡が必要になります。
目的がはっきりしている場合は遠近のどちらかを選択すればよいのですが、「家事全般を裸眼で行いたい」などの希望がある場合は、2メートルにピントを合わせることをおすすめします。この方法であれば、裸眼視力で遠くは0.8前後、近くは0.7前後が期待できます。運転や手芸、読書などのときは軽い眼鏡が必要になりますが、生活の大半は眼鏡なしで過ごすことができるかもしれません。
眼鏡に頼らない生活を希望なら多焦点レンズ
一方「多焦点レンズ」は、遠距離と近距離、どちらにも焦点が合うよう作られたレンズです。手術後の裸眼視力は、遠距離で1.0前後、近距離で0.7前後が期待できますので、眼鏡に頼らない生活を希望する方にとてもおすすめのレンズです。
この多焦点レンズは非常に便利ですが、注意点があります。
- 暗いところでは見えにくい場合がある
- 「ハローグレア」という光がにじむ症状が出ることがある
眼内レンズは日々進歩しており、多焦点レンズに関わる症状も以前に比べると軽くなってきました。しかし、選択される場合には、生活状況をしっかり聞いてくれる眼科を受診し、十分に医師と相談して決められるとよいでしょう。
多焦点レンズについて、当サイト監修「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師が解説しています。レンズ選びのお悩みの方、選び方について詳しく知りたいという方は、ぜひYoutube動画もご覧ください。
記事監修:「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
- 2003年:近畿大学医学部 卒、近畿大学医学部眼科学教室 入局
- 2009年:府中病院 眼科、近畿大学医学部大学院医学研究科 卒
- 2011年:Brien Holden Vision Institute Visiting Research Fellow
- 2012年:近畿大学医学部 助教
- 2014年:近畿大学医学部 医学部講師
- 2016年:医療法人翔洋会 理事長 平木眼科 院長
- 2018年:南大阪アイクリニック 院長
クリニック情報
- 所在地:大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 電話番号:072-453-1750
- 診療時間:9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日:木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器:フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など
記事監修
「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
略歴
2003年近畿大学医学部眼科学教室入局。府中病院(和泉市)勤務、オーストラリア留学を経て、2014年より近畿大学医学部講師として白内障・角膜外来を担当。2016年より現職。
渡邊医師YouTubeチャンネル:
クリニック情報
- 所在地大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 診療時間9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など