緊急事態宣言発令時に白内障手術を受けて問題ないですか?
急激な視力低下や眼圧上昇などを伴う白内障を除けば、手術は延期すべきであると考えます
2020年4月7日、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が発出されました。
全国一斉ではなく、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象となります。これらの都市に在住されており、すでに白内障手術の予約をされていらっしゃる方や手術治療が必要と診断されていらっしゃる方にとって、「緊急事態宣言」が出された中で、白内障手術を受けて大丈夫なのかご心配の方は多いと思います。
白内障ラボでは、急激な視力低下や眼圧上昇などを伴う白内障を除けば、延期すべきであると考えます。
その主たる理由は不要不急の外出は自粛すべきであるにもかかわらず、術後に何度も診察を受ける必要があることです。手術をした病院・クリニックが急遽一定期間休診となってしまった場合、他の医療機関に一時的に通わなければならないなどの状況が発生する可能性もあります。基幹病院の眼科においては医療スタッフの確保などのため、眼科診療は大幅に縮小される可能性もあります。
また、眼科検査や診察は50cmほどの近距離で行う必要があるものです。歯科診療と同様、感染リスクに細心の注意を払うべき診療科であると考えられます。
さらに、手術後には頻回の点眼を長期間しなければいけません。いま最も注意しなければならないと言われている手指で顔をさわるという行為を、点眼により繰り返す危険性があり、結膜を介したウイルス感染を生じる可能性があることも、手術を延期すべき理由として重要と考えられます。
現在、感染者数の急増、死者数が増加しているヨーロッパやアメリカでは白内障手術のほとんどが延期となっている状況を踏まえ、手術をするか延期をするか、担当医師と十分にご相談されることをおすすめいたします。
手術を受ける不安がある中、さらに感染に対する不安を抱えたまま、どうしてもいま手術をしなければならないか。慎重に考えてみてください。
学術研究団体からの情報提供
日本眼科学会の現在の考え方が発表されました。
- 新型コロナウイルス感染症の目に関する情報について(国民の皆様へ) ※PDFファイルが開きます
- 新型コロナウイルス感染症流行時の眼科手術に対する考え方(眼科医療関係者へ) ※PDFファイルが開きます
外科系医学会の答申が発表されました。
監修医師からのコメント
当院では緊急事態宣言発令後、早めに手術が必要な方を除いて手術を延期しました。再診予約の方についても、病状の安定している方は予約を延期しています。
ほとんどの方から安心したとの声を頂いたのですが、電話をして延期したいと思ってたけどしにくいなぁと思っていた、との声も頂戴しました。
この緊急事態においては、まず皆さん自身の安全と安心を優先し、医療機関にお問い合わせされてはいかがでしょうか。
眼科に限らず、不急の手術は全て延期するべきだと個人的には考えています。
記事監修:「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
- 2003年:近畿大学医学部 卒、近畿大学医学部眼科学教室 入局
- 2009年:府中病院 眼科、近畿大学医学部大学院医学研究科 卒
- 2011年:Brien Holden Vision Institute Visiting Research Fellow
- 2012年:近畿大学医学部 助教
- 2014年:近畿大学医学部 医学部講師
- 2016年:医療法人翔洋会 理事長 平木眼科 院長
- 2018年:南大阪アイクリニック 院長
クリニック情報
- 所在地:大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 電話番号:072-453-1750
- 診療時間:9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日:木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器:フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など
記事監修
「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
略歴
2003年近畿大学医学部眼科学教室入局。府中病院(和泉市)勤務、オーストラリア留学を経て、2014年より近畿大学医学部講師として白内障・角膜外来を担当。2016年より現職。
渡邊医師YouTubeチャンネル:
クリニック情報
- 所在地大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 診療時間9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など