大阪府泉南郡熊取町「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
開業後3年あまりで白内障の手術件数は年間700件以上。レーザー手術機器「フェムトセカンドレーザー白内障手術装置」や、「術中波面収差解析装置」など最新の手術関連機器を備える、大阪府泉南郡の眼科クリニック「南大阪アイクリニック」の院長、渡邊敬三医師にお話しを伺いました。
医師略歴
- 2003年:近畿大学医学部 卒、近畿大学医学部眼科学教室 入局
- 2009年:府中病院 眼科、近畿大学医学部大学院医学研究科 卒
- 2011年:Brien Holden Vision Institute Visiting Research Fellow
- 2012年:近畿大学医学部 助教
- 2014年:近畿大学医学部 医学部講師
- 2016年:医療法人翔洋会 理事長 平木眼科 院長
- 2018年:南大阪アイクリニック 院長
医師略歴
2003年近畿大学医学部眼科学教室入局。府中病院(和泉市)勤務、オーストラリア留学を経て、2014年より近畿大学医学部講師として白内障・角膜外来を担当。2016年より現職。
はじめから白内障に気づき来院されるわけではありません
ー患者さんはどのような経緯で受診に至るのですか?白内障の自覚症状があり、来院されるのでしょうか?
渡邊先生(以下、渡邊):必ずしもはじめから白内障を疑われて来られるわけではありません。水晶体に濁りが生じていたとしても、自覚症状として認識されていない方も多く、検査の結果、そこで初めて白内障の発症に気づかれることがあります。
特にそれほど外出の機会が多くなく、ご自宅で過ごされる時間が長い方の場合では、白内障にはなかなか気づかないものです。
ー検査を経て白内障と診断され、治すには手術が必要。そう聞くと驚かれるのではないですか?
渡邊:白内障は「発症=手術」というものではありませんが、進行度によっては手術が必要になります。とはいえ「手術を受けよう」との決心はなかなかできないものです。「目の手術」と聞いて、不安に思われるのは当然ですからね。
白内障の手術後の見え方の改善は目覚ましいものがありますが、だからといって「手術しませんか?」と言われすぐに決断できるものではありません。また手術したらよく見えると言われても、そもそも生活に困っていなければなおさらで手術は受けたくないものです。僕が普段から心がけていることは、今だけではなく、10年後、20年後も快適な生活を送るために必要であることを丁寧にご説明するということです。もちろん、手術への不安をできる限り取り除けるよう努めることは、手術を受けられる皆さんにとって、とても大事なことだと思っています。
「テレビの見え方が全然違う!」と喜んでくださいます
ー術後の見え方はどれくらい変わるものですか?例えば、視力が1.0以上に回復するといったことなどはあるのでしょうか?
渡邊:術後の視力は手術にて装着する眼内レンズの度で決まりますので、視力1.0以上に回復するのか?といえば「ほぼ戻る」ものです。それは、これまで眼鏡やコンタクトレンズで矯正されていた方も同様です。
実際、術後の見え方に対し、ありがたいことに多くの方が大変喜んでくださいます。よくおっしゃられるのは「テレビの見え方が全然違う!」ということですね。「アナログテレビの画質が4Kになりました」といった喜びの声をいただけることはうれしい限りです。これまで白内障に気づかず過ごされていた方は、4Kテレビの画質の恩恵を受けられていなかった、ということですね。
ー不安な気持ちを乗り越え、手術を受けられた方であれば、その喜びもひとしおですよね
渡邊:そうですね。良くなった見え方に慣れないうちは、「かけていないのに眼鏡をはずしそうになった」なんて笑顔でお話される方もいらっしゃいますよ。
生活習慣やご要望に合わせたレンズの選択肢を公平に提示いたします
ー手術によって生活が一変するのですね。先生はどれくらいの数の手術をされているんですか?
渡邊:年間でいうと、700件ほどとなります。ちなみに、当クリニックでの手術はすべて日帰り手術です。多くのクリニックもそうだと思います。
ー年間700件、すごい数ですね!
渡邊:そのうち、平均すると単焦点レンズの手術が8割ほど、2割ほどが多焦点レンズになりますね
ー多焦点レンズが2割というのは、割合としては多いですよね?手術を受けるにあたり、多焦点レンズを希望される方はそんなに多いものなのですか?
渡邊:初めから多焦点レンズを望んでいる、というケースが多いわけではないですよ。手術を受けことに決まれば、まずは、「単焦点レンズならこのように見えるようになりますよ」「多焦点レンズならこうですよ」といったように、手術後の見え方について丁寧にご説明します。つぎに、趣味やお仕事など「いまどのような生活を送られているのか」、そして「手術後によく見えるようになったらやってみたいこと」、などの生活環境やご要望をお聞かせいただき、それに適したレンズの選択肢をご提案した結果、多焦点レンズを希望されるという方も多いです。
ご自身が考える生活習慣と実際の生活には違いがあるものです
ー手術前のヒアリングを通じて、適したレンズの種類の選択肢をお伝えするわけですね
渡邊:生活習慣を詳細にお聞かせいただくと、ご自身が考えているものとの思い違いが意外と見つかるものです。例えば「私はよく本を読む」という方がいらっしゃいます。そうなると、読書に合わせた距離にピントを合わせた単焦点レンズが最適なように考えられますが、必ずしもそうではありません。お話を詳しくうかがってみると、1日あたりの読書の時間は1時間ほどだったりします。それは「起きている時間の大半は読書をしていない」ということです。読書をしていない時間に眼鏡が必要となることを考えると、読書に合わせた単焦点レンズは適切とは言えないとも考えられます。
ー確かに。読書が趣味であったとしても、ほかの時間のほうが長くなったりしますよね
渡邊:詳しくお話を聞かせていただくと、手術を受けられる前に考えていたこととは別の、新しい価値観が見つかることは珍しくありません。手術後には、20年、30年と生活が続いていきます。ゴルフが大好きな方であれば、10年後もゴルフを継続されているのか? そうした問いかけを一度ご自身でされてみることで、新しい価値観に気づかれることはよくあります。こうしたヒアリングを経たうえで、イメージに合致したレンズを選んでいただきたいですね。
ーただ手術を受けるのではなく、手術の前にご自身の生活について、しっかり整理することが大切なのですね
渡邊:おっしゃる通りです。「なんだか難しい、よくわからない」と、手術の前には息子さんや娘さんと来られる方も多くいらっしゃいます。そうした場合も選択肢をご提示し、一緒になって考えています。目の手術は一生ものですので、しっかり考え、ご判断をしていただきたいです。
私が手術を受けるのなら、間違いなくレーザー手術を選びます
ー超音波手術とレーザー手術では、どちらが多いものですか?
渡邊:超音波手術もご選択いただけますが、多焦点レンズの手術では、いまではほぼレーザー手術ですね。
ーレーザー手術は高額なイメージがあるのですが、増えているのですね
渡邊:レーザー手術は非常に高精度で、安全な手術方法です。仮に自分が手術を受けるとするなら、私も間違いなくレーザー手術を選びます。料金面など、レーザー手術に批判的な声も一部にはあるようですが、「自分が手術を受けるなら?」という視点からお話させていただくと、レーザー手術は、施術する医師が誰であっても、ほぼ同じレベルの安全性を確保できるということが、もっとも価値のあることだと思います。
ただし、「レーザー手術でないといけない」というものではもちろんありません。高額なレーザー手術を強いる、などはあってはならないことです。手術を受けられる皆さんのお考えを尊重し、手術方法をご選択いただきたいですし、私もそのご意向を尊重させていただきます。
また、「高額なためレーザー手術を選べなかった」と思わせてしまうことも望ましくありません。「このような方法もありますよ」「超音波手術でも問題ありませんよ」とご案内し、レンズ同様に複数の選択肢をご提示することが大切だと考えています。
希望通りの見え方、手術の正確性の追求は終わることはありません
ーレーザー手術の登場など、白内障手術の技術は日々進歩していますが、現在の手術で大変なところ、難しいところにはどのようなものがあるのでしょうか?
渡邊:技術は進歩していますが、「術後の見え方をご希望通りのものにすること」。これはやはり難しいものであり、日々追及し続けなければいけません。なんとなくの手術では、ご希望通りには絶対になりませんからね。
ご希望通りの見え方を実現するためには、眼内レンズの種類を選択した上で、50段階ほどあるレンズ度数から最適なものを選ぶという作業があります。そのためには手術前のヒアリングだけではなく、検査にも時間がかかってしまいます。手術を受けられるご本人にとっては、検査の回数が増えたりすると、特にご高齢の方などには大きな負担がかかってしまいますので、休憩をとりながら無理なく進めていくよう心がけています。
いかにご希望通りの見え方を実現するのか。そのためにテクノロジーを活用するとともに、私自身の技術についても常に高められるよう努めています。
ー手術自体は短時間で終わるとはいえ、ご希望の見え方を叶えるためにはさまざまな要素があり、大変なものなのですね
渡邊:おっしゃる通りです。白内障手術ってもっと簡単だと聞いていたというお話しも頂戴しますが、手術後に喜んでおられる皆さんのお顔を拝見するとホッとしますね。大学病院で努めていたころは、紹介状が来て手術を行いそれで終わりとなり、術後の見え方についての感想を聞く機会があまりありませんでしたが、クリニックを開業してからは、手術後にも関係性はずっと継続しますので、良くなった見え方についての声をいただくこと、それが私のモチベーションになっています。
術後にもコミュニケーションを取りながらの診療を
ー喜びの声が先生のモチベーション、ということですが、そもそも先生はなぜ眼科医を志されたのですか?
渡邊:もともとは父の影響です。父は産婦人科医だったのですが、「この子、こんなに大きくなったんです!」と街中でよく声をかけられていました。その姿を見て、医師は素晴らしい職業であると思い、医師を志すようになりました。僕が子供の頃の父はとにかく忙しい人だったので、寂しい思いもしましたが、町を歩けばたくさんの人に声をかけられる父を持って誇らしい気持ちが強かったですね。
ーお父様と同じ産婦人科医、というのはお考えにならなかったのですか?
渡邊:学生の頃はいろいろな診療科をまわって勉強していましたが、私はしゃべることが好きなので、コミュニケーションを取りながら診療できる科を選ぼうと。そうなると眼科、または産婦人科ではないか?と考えたのですが…私が婦人科にいるのって嫌じゃないですか?ヒゲの生えたこの見た目ですし(笑)
ーいや、そんなことはありません(笑)
渡邊:(笑)。実際には、兄が父の跡を継ぐことも決まっていましたし、「産婦人科の自分」を私の中でなかなかイメージできず、私自身も目が悪いこともあり眼科医を志し、いまに至ります。父が声をかけられていたように、私も「すごく良く見えるようになりました!」との声をいただけることが医師として何よりの喜びです。ご希望通りの見え方をかなえる為に、いかに安全に、正確に手術をできるかの追求を今後も引き続き行っていきたいと思います。
渡邊:(笑)。実際には、兄が父の跡を継ぐことも決まっていましたし、「産婦人科の自分」を私の中でなかなかイメージできず、私自身も目が悪いこともあり眼科医を志し、いまに至ります。父が声をかけられていたように、私も「すごく良く見えるようになりました!」との声をいただけることが医師として何よりの喜びです。ご希望通りの見え方をかなえる為に、いかに安全に、正確に手術をできるかの追求を今後も引き続き行っていきたいと思います。
(2020年12月追記)渡邊先生のYouTubeチャンネルが公開されました!
クリニック情報
- 所在地:大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 電話番号:072-453-1750
- 診療時間:9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日:木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器:フェムトセカンドレーザー白内障手術装置「LenSxⓇ」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURIONⓇ VISION SYSTEM」など
クリニック情報
- 所在地
大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 電話番号
072-453-1750
- 診療時間
9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日
木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器
フェムトセカンドレーザー白内障手術装置「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など