白内障の治療は、初期では目薬による治療、症状が悪化し日常生活に支障が見られるようになった場合には外科手術が必要になります。白内障の治療方法について進行期別に解説するとともに、白内障の原因や代表的な症状も合わせて紹介していきます。
白内障の治療方法
白内障は、主に加齢などが原因となり、水晶体が白く濁ってくる病気です。通常、目に入る光は水晶体を通って眼底に光を届け目のピントを合わせています。しかし水晶体が濁ってしまうと、眼底にうまく光を届けることができません。すると視力低下や目のかすみ、まぶしく感じるなどの症状が現れます。
初期の白内障の治療方法
初期の白内障と診断された場合は、点眼治療が主な治療法となります。ただし、目薬を使用しても水晶体が透明に戻ることはありません。あくまでも進行を抑えることが目的となります。
なお、白内障の初期ではこれといった症状は見られません。少し進行してきても、左右の目の進行状況が異なることがあり、片方の目に視力低下やかすみといった症状を自覚しても、一方の目が正常であった場合には、日常生活における自覚症状として認識できないこともあります
目のかすみや左右の見えかたの違いが顕著にならないと発症に気付かないことも多いため、こまめにセルフチェックをするとよいでしょう。
点眼薬による治療
白内障の初期に使用される点眼薬は以下の薬剤です。
- ピレノキシン製剤
白内障の起因となる「キノイド物質」の成長を抑え、水晶体の透明性を維持し、白内障の進行を抑制する効果が報告されている薬剤です。
- グルタチオン製剤
白内障の進行につれて減少していく、グルタチオン量の不足を補う抗酸化物質です。白内障の発症の防止や進行を防止できることが報告されており、水晶体の透明性を保つ効果があります。
なお、これら製剤の有効性については、現在の医薬品の有効性試験と同等の基準で評価されたものがないため、効果については限定的です。
進行した白内障の治療方法
白内障が進行して日常生活に支障が出てきた場合は、外科手術を行うことが一般的です。
手術にはさまざまな方法がありますが、濁った水晶体を取り除き、水晶体の代わりとして「眼内レンズ」を挿入するのが基本的な流れです。
手術による治療
白内障の手術には超音波手術とレーザー手術があります。それぞれの手術にどういった特徴があるのか見ていきましょう
■超音波乳化吸引術
- 角膜を切開して、水晶体の前嚢を切り取る
角膜の端をメスで約2mm切開し、超音波で水晶体の中身(核や皮質)を取り除くために水晶体の前嚢部分を切り取ります。
- 濁った水晶体の核と皮質を吸引する
水晶体の核と皮質部分を超音波で分割しながら砕き、吸引して眼内から取り出します。この時、水晶体嚢は残しておきます
- 残っている水晶体嚢の中に眼内レンズを挿入する
残された水晶体嚢の中に、人工レンズである眼内レンズを挿入します。
■レーザー白内障手術
レーザー白内障手術は光干渉断層計で読み取った情報をもとに、コンピューター制御のもとで角膜切開・前嚢切開・核分割を行います。それぞれの目の状態に合わせたより正確で目にやさしい治療ができます。
白内障の予防法
白内障の治療を行うことは大切ですが、白内障にならないために予防に努めることも大切です。
- 紫外線を避ける
白内障は加齢とともに多くの人に発症しますが、強い紫外線など外的な要因でも引き起こされます。
- バランスの良い食生活を心掛ける
バランスの良い適度な量の食事は、白内障のほか、肥満や糖尿病、ほかの病気を予防するうえでも有効です。塩分のとりすぎ、偏った食事を避け、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
- 適度に運動をする
糖尿病になると、若い方でも白内障を発症しやすくなります。日常生活の中で運動する習慣をつけ、生活習慣病を予防しましょう。
白内障の原因
白内障の治療を受けるにあたり、白内障の原因も知っておきましょう。白内障の種類は、発症原因によって大きく4つに分けられます。
- 加齢性白内障
加齢とともに発症する白内障です。白内障の中で最も多い種類で、個人差はありますが年を取ると誰もが発症する可能性があります。
- 先天性白内障
先天性白内障は、出生時または出生後に、先天素因、胎内感染などさまざまな原因によって、水晶体が濁ってしまいます。
- 若年性白内障
目をぶつけたなどの外傷、ぶどう膜炎などの目の疾患、アトピー性皮膚炎、糖尿病の合併症など、さまざまな原因によって10~30代に発症する白内障です。
- その他の白内障
ステロイドを含む薬剤の長期間にわたる使用などでも、白内障を発症することがあります。
白内障の症状
白内障の代表的な症状を知り、早期発見に役立てましょう。
- 目がかすむ
目がかすんで見えにくい、霧がかかったように見えるなどは白内障の代表的な症状です。水晶体の皮質部分が濁ることで見られるようになります。
- 視力の低下
白内障は進行が遅く、進行するまで自覚症状がないことも多いですが、初期から視力の低下が認められることもあります。
- 光をまぶしく感じる
水晶体内が白濁すると、晴れの日などに光をまぶしく感じる症状が見られます。
- ものが二重に見える
ものが二重、三重に見えるのは核白内障にみられる症状です。核白内障とは、水晶体の中央にある核部分から濁ってくる種類の白内障で、片目で見たときにものが重なって見えるようになります。
- 眼鏡の度が合わなくなる
白内障になると視力が低下します。以前に比べ視力が低下したと感じる場合は眼科を受診しましょう。
- 目が疲れやすい
水晶体が濁ることでまぶしく感じたり、ものが二重に見えたり、視力が低下すると目への負担は大きくなります。目が疲れやすいと感じることが多くなることは、白内障のサインかもしれません。
治療方法と原因症状を理解して白内障の知識を深めよう
白内障は早期に発見した場合や、病状が進行し日常生活に支障が見られる場合など、症状や病状によって行う治療が異なり、外科手術が必要になることもあります。
目の手術と聞くと恐ろしいイメージがあるかもしれませんが、手術自体は10~20分ほどで終わり、ほとんどの場合では日帰りも可能です。白内障の症状に心当たりがある場合は、なるべく早く眼科を受診しましょう。