目の水晶体が濁る病気である白内障は、さまざまな原因から発症します。加齢とともに症状が現れることが大半ではありますが、白内障は若い方も発症する疾患であり、紫外線など日常的に関係しているものも原因となりえます。
なぜ白内障になるのか?白内障に急になるのか?白内障のなりやすい人はいるのか?白内障になる理由と原因について、それぞれ見ていきましょう。
白内障の主な原因~なぜ白内障になるのか
白内障とは、目の水晶体が濁る病気のことです。水晶体は、外界から入ってくる光を屈折させて網膜に像を写すカメラのレンズのような役割を担っており、ものを見る際の重要な機能となります。この水晶体が濁ることで、視界がかすんだり、視力が低下したりするなどの症状が現れます。
白内障は発症原因から4種類に分類できます。
- 加齢性白内障
- 先天性白内障
- 若年性白内障
- その他の白内障
それぞれの種類の白内障について解説していきましょう。
加齢性白内障の原因~40代・50代での発症も
加齢性白内障とは、加齢に起因する白内障で、老人性白内障ともいいます。白内障を発症する原因の約90%は加齢とされており、早い方の場合40代で白内障の自覚症状が認められ、80歳ではほぼ100%の方に白内障の症状が見られるようになります。
しかし、ご高齢の方の場合では自覚症状が出にくいこともあり、症状に気がつかず、対応が遅れてしまうこともあります。生活習慣や体質によっても発症時期には個人差があるため、自覚症状がある場合は早めに眼科を受診してください。
先天性白内障の原因~発症確率はまれ
先天性白内障の主な原因には、以下が挙げられます。
- 先天素因
- 胎内感染
先天性白内障とは、生まれたときから目の水晶体が濁っている白内障をいいます。発症する要因には、遺伝的な問題(先天素因)や母胎内での感染などがあります。また、先天性白内障の場合、外からの光が網膜まで届きにくく、視力の発達が遅れる可能性があります。
先天素因とは
先天要因には大きくふたつの要因があります。
ひとつは常染色体優性遺伝といわれるものです。子供は両親のどちらか一方から受け継いだ遺伝形質を発現します。子供が母親か父親かどちらか一方の遺伝形質を受け継ぐ確率は50%で、母親か父親のどちらかから先天性白内障の原因になる遺伝子を受け継いでしまった場合は、白内障にかかるリスクは高まります。
ふたつ目は、染色体異常により引き起こされる要因です。遺伝子が突然変異を起こすことにより、異常な染色体が次世代以降に伝えられてしまい、先天性白内障が引き起こされる可能性があります。
若年性白内障の原因~20代で急になる例も
白内障は中高年層に多い病気ですが、20代〜30代で発症することもあります。比較的若い人が発症する若年性白内障の原因には以下が考えられています。
- アトピー性皮膚炎
- 外傷
- 薬剤
- 糖尿病
- 紫外線
若い人が白内障を発症する明確な原因は明らかになっていませんが、紫外線やストレス、もともと潜在的に白内障を持っていたことなどが、白内障になりやすさ、なりにくさ等にも関係するといわれています。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の合併症としてアトピー性白内障があります。若い人の発症率も高く、痒みによって目を掻いたり、叩いたりした際の刺激が関係していると考えられています。
また、免疫の異常による働きからアトピー性白内障を発症することもあります。
外傷
外傷により発症する白内障を外傷性白内障といいます。目に物が当たったり、怪我したりなどの衝撃が、外傷性白内障の原因になります。目の傷次第では、ほかの白内障と比べて急速に水晶体が濁る症例も見られます。
外傷性白内障を引き起こした場合は、早急な手術が求められます。ただし、中には目が傷ついて数年後に発症する場合もあるため、見え方に変化がないか、こまめな確認や検査が望ましいです。
ステロイド薬剤
アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の治療に使われるステロイド剤は、長期間使用すると白内障のリスクが高まる可能性があります。
糖尿病
糖尿病の症状であるインスリン分泌の異常から、血糖コントロールがうまくいかず、目の水晶体にソルビドールという糖の一種が蓄積します。この糖が蓄積することで、白内障を発症する可能性があります。
また、加齢性白内障の糖尿病の方は進行が早いとされています。糖尿病を発症している場合は、白内障の有無にかかわらず定期的に検査をうけ、早期発見に努めてください。さらに糖尿病の方は、糖尿病性網膜症という合併症も懸念されます。
紫外線
日焼けの原因にもなる紫外線は、水晶体のたんぱく質を痛め、白内障発症の一因になる可能性があります。長時間強い紫外線を浴び続けることは、できるだけ避けることが望ましいです。
その他の主な原因
生活習慣の乱れは、白内障だけでなく、糖尿病などさまざまな病気や症状の原因にもなります。適度な運動、バランスのとれた食事を取る、タバコやお酒を控えるなど、健康的な生活に気を配ることが大切です。
喫煙
喫煙はさまざまな病気のリスクを高めることで知られていますが、白内障の発症にも関与していると考えられています。たばこと白内障の詳しい因果関係は分かっていませんが、たばこから発生する窒素酸化物が水晶体たんぱく質や水晶体内に存在するたんぱく質であるα- クリスタリンに悪影響を及ぼしているとも考えられています。
白内障の症状を進行させない、進行を早めないという意味でも禁煙を心がけてください。
飲酒
アルコール摂取により白内障のリスクが高まるかの研究が行われ、男性の場合、月一回未満で飲酒を行う方に比べて毎日飲酒する方は相対危険度が高まるという結果が発表されています。そのほかに、大量にアルコール摂取をすると、核白内障が増加するという研究結果も存在します。
しかし、45歳以上の女性に同様の研究を行ったところリスクの増加は見られなかったことから、現段階では不確定な研究結果ではあります。
ですが、過度なアルコール摂取は様々な病気のリスク因子でもあります。飲酒の際は適量を心がけてください。
白内障の発症原因は加齢以外も考えられる
白内障の発症原因は加齢だけではありません。紫外線や薬剤など外的な要素が原因で、若くても発症する可能性がある病気です。また、初期ではあまり自覚症状が出ないため、発症に気づくことが難しい病気でもあります。進行につれて視界が暗くなったり、かすんで見えたりと、日常生活へ支障が出ることも懸念されます。思い当たる症状があれば早めに眼科を受診してください。