白内障は失明につながる病気ですか?
白内障で失明することは、一般的には多くありません
白内障になると、視力の低下やものの見えにくさ、見え方の違和感から、「このまま失明してしまうのでは」と心配される方もいらっしゃるでしょう。しかし、現代の医学では白内障で失明することはほぼありませんので、ご安心ください。
ただし、白内障を放置し続けるとさまざまなリスクが高まることは知っておきましょう。まず、白内障が進行すると、ものの見え方の違和感に慣れてしまうことから、ほかの目の疾患に気づきにくくなる可能性があります。気づかないうちにその疾患が重篤化することも考えられるため、放置することなく早めの受診をおすすめします。
また、白内障の治療には外科手術が必要になりますが、放置している期間が長くなると、手術自体の難易度が上がってしまいます。白内障が進行するほどに手術にかかる時間が長くなり、術中・術後の合併症が起こる可能性も懸念されます。
ご自身が手術を受ける際の負担も大きくなってしまいますので、症状に気づいたら眼科を受診し、早期の対応を心がけましょう。
日本国内における白内障での失明確率
白内障の失明リスクの低さは、データでも証明されています。
日本国内の失明原因(ここでいう失明とは視力0.1以下をさします)のうち、白内障が占める割合は約3%。その3%も症状を放置したケースがほとんどです。見え方に違和感を覚えた時点で眼科を受診すれば失明に至ることはまずなく、短時間・日帰りの手術を受けることで視力を回復することが可能です。
一方、全世界で見ると、白内障が原因で失明するケースは現在も少なくありません。これは地域による医療レベルの違いが原因となるもので、発展途上国などでは白内障を適切に治療できる医療機関が少ないことがあるからです。この点では、日本国内は恵まれている環境にあるといえます。ぜひきちんと受診して、目の健康を守りましょう。
数少ない失明につながる理由
- 症状の放置
白内障にはいくつか種類があり、特に核性白内障は自覚症状が出にくく、屋外活動をされない方の場合、自覚されたときにはかなり進行している場合があり、いわゆる社会的失明の状態であることも少なからずあります。
しかし進行した白内障でも手術をすれば視力の向上が期待できますが、手術の難易度が上がりますので、まぶしさやかすみといった症状を感じた場合は、眼科を受診するよう心がけましょう。
- 手術の合併症
日本国内の失明原因のうち、白内障が占める割合は約3%とお伝えしました。その原因には手術後におこる「眼内炎」も挙げられます。これは白内障手術で切開した傷から細菌が入り込み感染を起こしてしまうもので、その菌が抗生物質に耐性があった場合や放置すると最悪の場合は失明につながります。
ただし、細菌感染は2000人に1人ともいわれており、適切な処置と投薬でほとんどの場合は治癒します。術後は医師から処方された薬をしっかりと用い、衛生に気をつけて過ごしましょう。飛蚊症(こまかい虫が目の前を飛んでいるような症状)を感じたら、眼内炎や網膜剥離の可能性もありますので、早めに手術をうけた医療機関を受診しましょう。
記事監修:「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
- 2003年:近畿大学医学部 卒、近畿大学医学部眼科学教室 入局
- 2009年:府中病院 眼科、近畿大学医学部大学院医学研究科 卒
- 2011年:Brien Holden Vision Institute Visiting Research Fellow
- 2012年:近畿大学医学部 助教
- 2014年:近畿大学医学部 医学部講師
- 2016年:医療法人翔洋会 理事長 平木眼科 院長
- 2018年:南大阪アイクリニック 院長
クリニック情報
- 所在地:大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 電話番号:072-453-1750
- 診療時間:9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日:木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器:フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など
記事監修
「南大阪アイクリニック」渡邊敬三医師
略歴
2003年近畿大学医学部眼科学教室入局。府中病院(和泉市)勤務、オーストラリア留学を経て、2014年より近畿大学医学部講師として白内障・角膜外来を担当。2016年より現職。
渡邊医師YouTubeチャンネル:
クリニック情報
- 所在地大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目174-6
- 診療時間9:30~12:30、14:30~17:30
- 休診日木曜午後、土曜午後、日曜
- 導入機器フェムトセカンドレーザー白内障手術装置、「LenSx」、術中波面収差解析装置「ORA System」、白内障手術ガイドシステム「Verion」、超音波白内障手術装置「CENTURION VISION SYSTEM」など